波乱の2020年が幕を閉じ、新年への期待に胸に膨らませていたのも束の間。2021年も早いもので、折返し地点が地点が近づきつつありますね。
人材市場に明るい兆しが見えだした昨今、転職をすべきかどうかの判断基準として昇給率を意識される候補者の方々や、給与調整を検討する採用企業様からのご相談が増えてきました。
今回は、アメリカの昇給制度にスポットをあてて解説していきます。
昇給とは読んで字の如く「給与の上昇」=「Salary Increase, Pay Raise」を指します。
「昇給」という言葉を聞くと、日本の方の多くが「昇格」「昇進」に直結するイメージをお持ちのようですが、決してそれだけとは限りません。昇給を決定づける要素は以下の通り、多岐にわたります。
会社内部や一個人を軸とするだけではなく、外的要因も含むんですね。
冒頭に書いた通り、日本の方の多くが「昇給」=「昇進」「昇格」というイメージを持つのはなぜでしょうか?その背景を知るべく、日本とアメリカの昇給文化の違いを2つの視点からご紹介したいと思います。
過去の記事 [転職社会アメリカ]でもご紹介した通り、日本とアメリカには以下の通り雇用制度に大きな違いがあります。
「頑張りに応じた昇給」という考えも近年では導入されはじめているようですが、まだまだ勤続年数が物を言う社会だと言える日本。日本の方の多くが「昇給」=「昇進」「昇格」というイメージを持つ背景の一つはここにあるよう感じます。
各国のインフレーションの違いに関してお話する前に、ひとつご紹介をさせてください。
2016年5月、庶民の味として知られる日本のあの人気商品が、米国ニューヨーク・タイムズの一面を飾ったことをご存知でしょうか。
以下グラフで日米の過去20年のインフレーション(物価上昇)率の推移を見てみましょう。
アメリカが平均で2.12%成長しているのに対し、日本は0.04%、半数以上の年がマイナス成長となっています。アメリカの、特に都市部に住む方々は、家賃や物価の上昇からインフレを日々肌で感じているでしょうから、あえてグラフで見る必要もないかもしれませんね。
このように、アメリカでは物価の上昇はごく身近なこと。そしてインフレーションに応じ給与もあがって当然、と言っても過言ではないでしょう。
この感覚が存在しない日本では、給与が外的要因に影響を受けることはあまりないのかもしれませんね。
それでは最後に、アメリカでどの程度昇給が実施されているかを見ていきましょう。
様々な企業や団体が実施する昇給率の調査によると、アメリカの平均昇給率は過去10年2~3%の間で推移しています。参考までに、人事労務管理のNPO団体WorldatWorkが1000社以上を対象に行なった調査結果を以下にてご紹介します。
コロナウィルスの流行にはじまり、BLM運動、大統領選挙など怒涛の一年をたどった2020年⇒2021年の昇給率はいかがでしょうか。各大手調査会社発表の調査結果は以下の通りです。
参考までに、パンデミック前に設定された2021年の予測昇給率は3%を越えていました。予測値から実際値が下がる結果となったのはリーマンショック後初の12年ぶりですので、パンデミックによる経済的インパクトの大きさが感じられるのは事実です。
ただ見方を変えると、コロナ禍でも少なからず昇給を実施している企業が存在すると言えますね。
上記の式で、昇給のパーセンテージを算出することが可能です。
ぜひ計算してみましょう。