[転職大国アメリカ] の記事内で紹介した通り、転職文化の根強い米国では、「優秀な人材を確保する為には、充実した福利厚生はなくてはならないもの」とい考え方がスタンダードです。
[大転職時代の到来] に際した昨今の超売り手市場では、福利厚生の内容が採用の切り札と言っても過言ではないでしょう。
今回は、そんなアメリカの福利厚生制度について解説します。
アメリカは州や郡、市によって雇用の法律が異なります。ここでは一般的な情報ならび主要なエリアでの情報を記載させていただきます旨、ご理解ください。
アメリカの福利厚生の起源は、1930年代まで遡ります。大恐慌から世界対戦にかけた厳しい労働力不足の打開策として、32代ルーズベルト大統領がリーダーシップをとり普及させました。
約100年をかけ形を変えてきた福利厚生。その構造は現在、大きく以下の2つに分けられます。今回は後者の法定外福利厚生にフォーカスして見ていきましょう。
見て字の如く、法律では定められていない「法定外福利厚生」。つまり各雇用主が自社のポリシーや予算に応じ、自由に内容を制定します。導入率の高い代表的な福利厚生をご紹介していきます。
まずは日本でも一般的な「休暇制度」に関してです。導入していない企業はないと言っても過言ではないでしょう。以下のような休暇が存在します。
中でも代表的なPTOとSick Leaveに関して、平均付与日数はそれぞれ年間10日前後だとアメリカ合衆国労働局は発表しています。
またアメリカの休暇制度の特徴として知っておくべきポイント2点をご紹介します。
連邦法としては依然として法定外ですが、カリフォルニア州やニューヨーク市などの大都市圏でSick Leaveの提供を法令で義務付ける動きが近年多く見られます。
次に、福利厚生の要を握る「企業保険」について。
まず、御存知の方がほとんどかと思いますが、アメリカには日本のような国民皆保険は存在しません。故に米国在住者は個人で保険に加入する必要があり、またそれは勤務先を通しての行われることがが一般的です。
アメリカ合衆国労働局の調査によると、 87%の正社員が企業保険を提供されているとのこと。弊社で採用をお手伝いさせていただいている雇用主様の企業保険導入率は100%です。
「一般的にどういった企業保険を導入すべきですか?」
「魅力的な企業保険のサンプルを教えて下さい。」
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そんなご相談をよく受けるのですが、残念ながらこの質問に回答をするのは難しいと言わざるを得ません。例えば皆様が、車の保険を選びたいとしましょう。その選択肢は無限であり、また詰まるところ、予算次第ですよね。
企業保険も同様、様々な保険会社が多岐にわたるプランを用意している為、一般化してお話し辛いという状況です。
ここでは企業保険そのものを構成するファクターをいくつかご紹介したいと思います。
最後に、年金制度について。
アメリカには公的年金の Social Security | ソーシャルセキュリティーがあり、これは冒頭の法的福利厚生に分類されます。
これを補うものとして任意の私的年金制度を企業が提供することも一般的です。種類は多種多様ですが、今回は最もポピュラーな企業型確定拠出年金プラン「401(k)=フォー・オー・ワン・ケー」にスポットをあててみましょう。
401(k)は、給与の一部を年金に回し自身で運用した上で将来引き出すことを目的としています。以下3つのポイントを把握することをお勧めいたします。
上に述べた代表例3つとならび、よく見られる福利厚生の例をご紹介します。
先述した代表例に加え、いくつか近年のトレンドをご紹介します。多様化する我々の生活スタイル。それにあわせ、柔軟かつユニークな福利厚生を提供する企業も増えてきました。
参照:Remote Work Statistics | FlexJobs
著しい成長率は、昨今のIT化が根本にあることは言うまでもないですが、在宅勤務の許可により「社員の生産性があがった」「売り上げがのびた」という調査結果も多く存在します。
2004年と早い段階からこの制度を導入しているのが動画配信サービス事業を行うNetflix(ネットフリックス)社。同社の社員は、「好きな時に」「好きなだけ」休みをとれ、また会社がそれを追跡することはありません。
1997年DVDレンタル会社として創業して以来、今や世界最大級の動画配信メディアとなったその成長の裏には、「自由と責任の文化」の理念があったことは有名な話でしょう。この流れにのり、ソニー社やDropbox社などIT系の企業を中心に本制度を導入が昨今多く見られます。