アメリカの採用担当者を最も悩ます問題のひとつ、給与設定。中でも最低賃金は、混乱しやすいポイントのひとつです。
「連邦(国)・州・郡 それぞれ独自のルールを設定していて混乱する」
「日本の最低賃金は最も高い東京で1000円+α。なぜアメリカはこんな高いのか」
などといった声を、よく耳にします。今回は米国における給与設定の基礎、最低賃金に関し解説いたします。
日本では厚生労働省が地域別の最低賃金を定めているように、アメリカでも地域毎に最低賃金が定められています。しかし、アメリカで法律の話をする際に混乱する部分は、連邦(国)も州も都市もそれぞれ独自の法律を作りルール作りをしているという点。これは最低賃金にも当てはまります。そうなると生まれるのが「どの法律に従えば良いのか?」という疑問ですよね。
カリフォルニア州のホームページに記載があるように、複数の法律が定められている時は雇用者は最も厳しい法律、すなわち従業員にもっともメリットがある法律に従わなくてはいけません。
仮に州の法律で最低賃金が$10/時間と定められていても、市の法律で$15/時間の場合は、$15に従う必要があります。
即ち、企業は最も高い最低賃金を採用しなければいけないということになるわけです。
連邦・州・都市が定めるそれぞれの最低賃金を見ていきましょう。(2020年2月現在)
アメリカの連邦が定めている最低賃金は$7.25 / 時間となっています。
各州が定める最低賃金のリストです。日系企業が多く拠点を置く地域をピックアップしてみました。
州 | 最低賃金(/時間) |
---|---|
ニューヨーク | $11.80 |
カリフォルニア | $12 or $13 |
テキサス | $7.25 |
ワシントン | $13.50 |
ミシガン | $9.65 |
フロリダ | $8.56 |
オレゴン | $11.25 |
ハワイ | $10.10 |
アリゾナ | $12 |
大都市の中でも州が定める最低賃金より高い法律を制定している都市をいくつかあげてみました。
都市 | 最低賃金(/時間) |
---|---|
ニューヨーク市(NY) | $15 |
ロサンゼルス市(CA) | $14.25 or $13.25 |
サンフランシスコ市(CA) | $15.59 |
シアトル市(WA) | $16.39 |
シカゴ市(MI) | $13 |
上記のように都市部では非常に高い最低金額を設定していることが分かりますね。
例:サンフランシスコ市の場合、連邦が$7.25・カリフォルニア州が$12だとしても市 が$15.59と定めているので、この金額に従う必要があるわけです。
分かりやすく、米ドルを日本円に換算してどのくらいの違いがあるのか見て見ましょう。
現在アメリカで最も高い最低賃金はシアトル市の$16.39/時間。日本円にすると1809円/時間。一方日本で最も高い東京は1013円/時間。この2つを比較すると日本とアメリカの都市のにおける給与水準が大きく違うことがわかります。
*2020年2月25日時点
米国に進出する日系企業で最初に失敗しがちなことが給与設定です。日本の水準で給与を設定してしまう企業が多いのですが、上述の通り日本とアメリカの給与水準はあまりにも違います。
アメリカの水準で給与を設定すると、日本本社からは「給与が高すぎる」と言われるため結局給与をさげることに。するとアメリカの市場価格で務めるいる人材は集まらない。頑張って採用したとしてもすぐに辞めてします。また、最初の給与が低すぎるため後から雇う従業員の給与が上げられない。そのため、低賃金で採用を行いすぐに辞めてまた、採用という悪循環が出来てしまいます。
大手求人サイトGlassdoorのサイトで平均の給与を調べることができます。
ニューヨークのセールスマネージャーの平均給与は年俸$107,226
ロサンゼルスのソフトウェアエンジニアの平均給与は年俸$91,469
平均的な水準給与を知りたい時は求人サイトなどで実際の募集内容を調べて行くことがおすすめです。