今年もこの季節がやってきました。
そうです。来る3月のH-1Bビザ抽選開始に向けた準備時期ですね。
ハラハラした思いで、早速書類収集に取り掛かっている方もおいでなのではないでしょうか。
かつては「米国で働く際の王道」とも考えられていた「アメリカ留学→OPT→H-1Bビザ」というルート。
近年は取得がすさまじく難化していることはご承知の通りかと思います。
また年明け2023年1月4日にバイデン政権は、今年度の申請費用が例年の約1.5倍とすることを発表し、その敷居は高まる一方のよう見受けられます。
今回は、H-1Bのベーシックな情報から、2024年度枠の留意点や近年のリアルな現状に至るまで、一連の情報をご紹介していきます。
まずは簡単に、H-1Bビザの概要を以下にてご紹介します。
H-1Bビザの発給を受けるためには、大きく以下の要件が求められます。
専門分野での卓越性の立証が必要である為、「General Education(一般教育)」「Anthropology(人類学)」「International Studies(国際研究)」などの専攻は関連専門職が少なく、H-1Bビザ取得が難しい学部と言えそうです。
職種名で言うと、具体的には以下のような専門職があてはまるでしょう。
2024年枠(2023年申請分)は以下の通りの概要となっています。
要項 | 内容 |
---|---|
スケジュール | 応募期間 :2023年3月1日(水)〜 2023年3月17日(金) 抽選期間 :2023年3月1日(水)〜 2023年3月17日(金) 書類提出期間 :2023年4月1日(土)〜 2023年6月30日(金) 就労開始時期 :2023年10月1日(土) ※最速で承認がおりた場合 |
発給数 | 一般枠 :65,000件 ※うち6,800件はチリ・シンガポール国籍者用 大学院卒枠 :20,000件 |
費用 | 抽選登録料 :$10 本申請料 :$780 ※従来の$460から値上げ 詐欺防止料 :$500 トレーニング料:$1,500 ※従業員が25名以下の場合は750ドル 特急審査料 :$2,500 ※任意 国境保安法料 :$4,000 ※従業員が50名以上、かつ半数以上ビザ保持者の場合 |
大筋が分かったところで、実際問題H-1Bの取得ってどんな感じ?という疑問にお答えしていきます。
その他の選択肢であるLビザやEビザとは異なり、管理職以上という規制がなく新卒の方でも対象となるH-1Bビザ。故に「取得は簡単だ!」と認識されている方もいるようです。しかしながら、そうとは言い難い現実があります。
以下、過去10年の申請状況をご覧ください。
昨年は、選ばれし約6人に1人のみが申請するチケットを手に入れられたという高い倍率。
また申請権を得た後に厳しい審査が待ち構えているという点もお忘れなく。。こちらは後述します。
年度 | 受付期間 | 抽選有無 | 応募数 | 選考倍率 | 申請却下率 |
---|---|---|---|---|---|
2012 | 235日 | × | – | – | 12% |
2013 | 71日 | × | – | – | 22.4% |
2014 | 5日 | ○ | 124,000 | 1.46倍 | 20.3% |
2015 | 5日 | ○ | 172,500 | 2.03倍 | 15.5% |
2016 | 5日 | ○ | 233,000 | 2.74倍 | 12.7% |
2017 | 5日 | ○ | 236,000 | 2.79倍 | 41% |
2018 | 5日 | ○ | 199,000 | 2.34倍 | 24% |
2019 | 5日 | ○ | 199,098 | 2.34倍 | 24% |
2020 | 5日 | ○ | 201,011 | 2.36倍 | 13% |
2021 | 20日 | ○ | 275,000 | 3.24倍 | 4% |
2022 | 15日 | ○ | 308,613 | 3.63倍 | 5% |
2023 | 18日 | ○ | 483,927 | 5.69倍 | – |
先述の要項に加え、移民局が制定する給与額(Prevailing Wage | その専門職に適正・妥当と算定された賃金)の提示も必須となっています。この規定給与が近年上昇傾向にあり企業へも大きな負担となる為、申請を躊躇する雇用主が増えているのも現状です。
職種・地域により異なる為、気になる方はこちらForeign Labor Application Data Centerからぜひ調べてみては。参考までに、LAカウンティーの2ポジションを以下にてご紹介します。
新卒でも日本円で1千万円を超えるお給与が求められていますね。
この金額を払える資金力のある企業は、決して多くないはずです。
以下は2022年のH1-B申請数の企業別ランキングと、そのトップ5企業の平均申請給与です。
一部の巨大企業により大量の請願が提出されており、独占されている状況が見てとれます。
抽選は無作為であること、また以下の通り、一企業あたりのH-1B従業員の割合が規定されていることから、チャンスは平等に与えられているはず。
しかし、これらの巨大企業は母数がそもそも極めて多いわけですから、太刀打ちするのは難しいように感じてしまうのが正直なところですね。