「人事 x AI」~HR領域における人工知能の活用~


アメリカの人工知能研究所Open AIより、2022年末に公開された「ChatGPT(チャット・ジーピーティー)」が注目の的となっていますね。

リリース後たった5日で100万人のユーザー獲得した同サービス。これは、instagramやYouTubeなど名だたるツールが要した数ヶ月という記録に大差をつける異次元のスピードとして、脚光を浴びました。

「第4次AIブーム」真っ只中の昨今。
目覚ましい発展の裏側で、そのリスクに警鐘を鳴らす動きも出始めている点から目を背けてはいけないでしょう。人事領域でも、AI関連の訴訟が起きていることも事実です。

今回は、HRの視点から人工知能について紐解いていきたいと思います。

1. ChatGPTとは

せっかくの機会なので、ChatGPTの紹介をしたいと思います。

概要


Amazonの「アレクサ」やAppleの「Siri」に代表される対話型AI。ChatGPTもそのひとつで、コンピュータが人間と自動で会話することを目的として作られています。

上記の先駆サービスとChatGPTの決定的な違いは、そのリアルさ。まるで人間が書くような自然かつ精度の高い文章を生成することを可能にしています。
GPTは「Generative Pre-trained Transformer(事前学習し、質問に対してアウトプットする人工知能)」の略で、生成系AI(ジェネレーティブAI)と総称されます。

できること

先述の通り「0から1を生み出すこと」に特化している生成型AI。

故にChatChatGPTは、「〇〇とは?」「△△を翻訳して?」など簡単な質問回答に止まらず、さまざまな生成能力を兼ね備えています。他のツールを組み合わせることで、絵を描いたり、音楽を作ったり、はたまたコーディングしたりできるというから驚きです。

実際の使用例をいくつか以下でご紹介したいと思います。

文章生成

表・グラフ生成

画像生成

2. 人事・雇用におけるAI導入例

話題のChatGPTについて理解が深まったところで、次はHR領域における具体的なAI導入例をご紹介します。

                
防衛省人事異動・人事評価 ⚫︎対象:陸、海、空の約4万人の幹部自衛官 約25万人いる全自衛官の6分の1程度

⚫︎時期:2020年度予算にAI開発費として約2億7000万円を計上 2年程かけてシステム構築

⚫︎内容:ディープラーニングの画像処理を主に手掛ける株式会社ACESが、自衛官の組織構成や働き方、健康向上について助言
あくまで補助であり、最終的な判断は人間が行う

⚫︎補足:中央省庁でAI人事が導入されるのは初
他国では既に類似事例があり、たとえば韓国軍では2019年よりAIを活用し、志願者の表情や音声、心拍数などのデータをもとにした人材選考を実施
明治安田生命人材育成・人員配置 ⚫︎対象:内勤社員約1万人

⚫︎時期:2024年度を目処に完全移行

⚫︎内容:全国1200カ所の拠点で、毎年2000~3000人が異動する膨大な人事を、AIを活用し人の目が届かない部分までカバーする

⚫︎補足:3000人規模の実証実験を通し、従来人事担当者が定性的に把握していた行動特性を定量化することが可能と判断 AI導入に踏み切る
松屋フーズ昇格試験 ⚫︎対象:年2回東京と大阪に試験に参加する店長候補者

⚫︎時期:パンデミックをきっかけに2020年末に開始

⚫︎内容:採用コンサルティングを手掛けるタレントアンドアセスメント社開発の「SHaiN」を導入
AIが、300通りの中から評価に必要な質問を投げかけ、結果を分析して評価レポートを作成

⚫︎補足:一貫性のある評価を可能になったことに加え、面接のエビデンスが残る、フィードバックが的確にできる、など人事業務全体の効率性アップにもつながった
セプテーニインターンシップ ⚫︎対象:新卒の就職活動中の学生

⚫︎時期:2018年よりサービス提供開始

⚫︎内容:自己分析・OBOG訪問・VR就業体験など一連のインターンシップが、オンライン上で場所を選ばずいつでもに参加できる自社サービス「COGRESS」を活用

⚫︎補足:同社は、HRテクノロジー事業を行う「人的資産研究所」設置 AIやデータを用いた研究開発を専門に行っていたチームを2021年子会社化

3. AI活用に潜むリスク

加熱するAIブームの中、賛否両論があるのも確か。
以下のような例は、AIをビジネスで用いる際のリスクを示唆していると言えるでしょう。

訴訟例1. Workday
2023年2月 カリフォルニアにおいて、人事システム大手Workdayに対する訴訟が提起
同社のAIを活用した選考スクリーニングのツールが、黒人や障がい者、40歳以上といった特定の属性を持つ候補者を不当に差別し、高い割合で不採用にしていると指摘
訴訟を起こした本人は、自身がこうした属性を持つが故、同社サービスを使う100以上の企業の選考に落ちたと主張
紛争例2. IBMジャパン
2020年4月 日本において、同社の労働組合が東京都労働委員会に救済申し立て
同社のAIツール「Watson」を活用した人事評価や賃金決定に対し、AIが表示するアウトプットの内容開示の拒否したことを機に「プライバシーの侵害」「判断過程のブラックボックス化」などと指摘

AIが、社会の課題解決や企業・個人の生産性向上に大きく寄与することは言うまでもありません。我々も消費者として日々その恩恵を受け暮らしています。

上記のようなネガティブな一面もある一方で、AIは人間による無意識のバイアス(Unconscious Bias)を防ぎ、適切に判断する力を持ち合わせていることを疑う余地はないはず。例えば、Fotune社によると以下のような調査結果も発表されています。

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人間ではなく、AIによって選定された候補者の方が
14% 選考通過率が高く、18% オファー受諾率が高い。

つまり、これらAIの利点を駆使しない手はない訳です。
だからこそ大切なのは、「AIを使う or 禁止する」という極端な二択に落とし込むのではなく、以下のような点に意識することなのではないでしょうか。

  • AI導入時は、メリット・デメリットを冷静に判断し慎重に行う
  • AIが持つリスクを正しく理解し、コントロールする
  • AIの判断を過信しすぎたり鵜呑みにしたりしない
  • 人間が関与すべき部分は積極的に介入する
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ヒトと人工知能とが共存するより豊かな未来に向けて。 その本質的な問いと向き合い、無限の可能性を切り拓いていけたら嬉しいですね。

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