新型コロナウィルスの影響で目まぐるしく世界の状況が移り変わる中、皆様不安な毎日をお過ごしのことかと思います。
今回は、JETRO(日本貿易振興機構)提供の在米日系企業の新型コロナウイルス対策の現状を紹介します。
ご存知の通り、連邦制を採用している米国では、政府が三層に分かれています。
以下は各自治体が決定した事業者・企業向け措置の一例です。
機関 | 概要 |
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連邦政府 | ■総額2兆2,000億ドルの新型コロナウイルス対策救済法を制定。「国家安全保障の維持上重要な」企業(旅客・貨物航空会社など)への融資や中小企業向けの支援に充当する。 |
CA州 | ■中小企業の売上税や使用税について最大5万ドル、最大12カ月の納税猶予を認める。 ■新型コロナウィルスに影響を受けたテナントに対し、5月31日まで立ち退き執行を禁止する。 ■納税者(個人・事業者ともに)は確定申告・納税期限を4月15日から7月15日まで延長を認める。 |
NY州 | ■新型コロナの影響で隔離を強いられ仕事ができない従業員に対し、企業の規模に応じて傷病休暇(Sick Leave)を認める。 |
NY市 | ■従業員数が1~4人で、新型コロナにより売上が25%以上減少した企業に、従業員の給与の最大40%を2か月間の補助とし支給する。 ■従業員数100人未満で、新型コロナウイルスの影響で売上が25%以上減少した企業は、最大7万5000ドルまで無金利ローンを申請できる。 |
MI州 | ■医療用器具の製造を開始する中小企業向けに、1万〜15万ドルの補助金を支給。 ■失業保険の対象外である自営業者や低賃金労働者も、最大4カ月、週600ドルの給付する。 |
以下はJETRO実施による、在米日系企業905社へのアンケート調査結果(実施期間:2020年3月24~26日)です。
9割以上が、何らかの形で在宅勤務を導入しています。
工場や倉庫、生産や試験研究施設など、現場での業務が必要な業態の企業は、該当しないケースが多いようです。
また以下のような対応も見られます。
また、在宅勤務が不可能な社員に対して、半数以上の企業が全額もしくは一部の給与を支給しています。
その多くが、ある程度期間を設けており、長期化した場合は随時対応をするという結果に。
その他の対応としては、以下が挙げられます。
駐在員への対応に関しては、以下の通りです。
半数以上が、一時帰国をすることなく、米国残留という結果に。
以下のような声も見られます。
7割近くの企業が売上が減少していると回答しています。
うち、製造業については、以下が原因として挙がっています。
その他対処に苦慮している課題として、以下が挙がっています。
カテゴリー | 困っていること |
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業務面 | ■家に子供がいる状況で、仕事環境を維持することが困難。 ■在宅勤務者とオフィス勤務者の公平性を保つことが難しい。 |
衛生面 | ■文化の違いによるものか、マスク着用を必須とするのが難しい。 ■現場の社員同士が6フィートの距離を保つのが難しい。 ■社員や社員の家族がコロナウィルスに感染した場合のフローが不明。 |
運営面 | ■大使館が面接を停止したため、社員のビザ更新ができない。 ■Essential Businessの定義のばらつき。 ■現場で使用するマスクの在庫が不足している。次の入荷予定は半年後。 ■日本国内の対応との温度差から、日本の親会社への報告の苦心。 ■事業の資金繰りが困難。また、売掛回収の遅延も予想される。 |