コロナ関連の訴訟
ケーススタディーと対策法


コロナ関連訴訟

新型コロナ(covid-19)の影響で世界中で働き方が大きく変化しています。従業員の権利を尊重し日頃から職場や企業内での訴訟が多いアメリカは、現在コロナウイルス関連の訴訟が急激に増加しています。

アメリカでは実際にどのような訴訟が起きているのが、訴訟になりやすいケースは何か、企業側はどのような対策を取れば良いのかをこの記事では見ていきます。

米国でのコロナウイルス訴訟ケース

アメリカ食肉加工最大手のタイソン・フーズ(Tyson Foods, Inc.)は、Covid-19により亡くなった従業員の遺族に訴訟を受けています。遺族はタイソン・フーズの職場の管理が不十分であり、個人に防護具が適切に供給されなかったと訴えています。

また、2020年5月の時点でタイソン・フーズは従業員4500人以上が感染18人以上が死亡したと伝えられています。

その他にも同じ食肉加工大手の Smithfield FoodsやJBS USA、アマゾン、Walmartも同様にコロナウイルスにより亡くなった従業員の家族からの訴えを起こされています。

アメリカのコロナ訴訟トラッカー

アメリカのコロナ訴訟トラッカー

Fisher Phillips LLPがコロナウイルスに関連の雇用に関する訴訟トラッカーを公表しており、州ごとの訴訟件数とカテゴリーをリアルタイムで見ることができるトラッカー。2020年8月時点ですでに400を超える訴訟が全米で起きており、今後も増加することが予想されます。

コロナウイルス訴訟の種類

差別(ADA)

アメリカでは年齢や障害、性別などによる差別を厳しく禁止しています。例えば高齢で過去に大病を患ったことがあるため自宅から働きたいとの社員からの申し出があったのにも関わらず拒否をしたり、特定の人だけに自由に働く権限を与えることは差別に当たる可能性があります。

病欠(Sick Leave)

コロナに関する病欠や家族のサポートのための休暇に関するFamilies First Coronavirus Response Actなどの法律がが緊急で制定されています。そのため、Covid-19に関する休暇依頼の拒否などはこうした特別法に反する可能性が高くなります。

安全な職場環境の提供

オフィス、倉庫、工場など全ての職場環境に関連します。例えば人が密集する環境で仕事をしなくていけない、企業から提供される防護用具が足りないまたは提供されないなど、職場環境の安全性に関してはすでに多くの訴訟が報告されています。

コロナの訴訟を受けないための対策

連邦法とローカルの法律への準拠

米国は連邦法、州法、ローカル地区の法律がそれぞれ強い権力を持っています。例えばWorker’s Compensationについてのそれぞれの州の法律はFisher Phillips LLPが出しているこうしたリストを参考にするとよいでしょう。

CDCガイドラインへの準拠

食料品店のコロナ対策

CDCアメリカ疾病予防管理センターがホームページ上にCovid-19対策のガイドラインを公表していますので、参考にしましょう。このガイドラインは業種ごとに設定されており、例えば食料品店の場合は「顧客にデジタルで行える支払い方法を進め、接触を最小限にしましょう」など、顧客も従業員も双方を守ることができる細かい対策が記載されています。

EEO米国雇用機会均等法への準拠

EEOCコロナ質問リスト

コロナ禍での職場や雇用関連の問題は差別と深く関わっていますので、EEOC米国雇用機会均等法委員会が公表しているガイドラインは、下記の内容に分かれてQ&Aが記載されていますので参考にしましょう。

  • 障害(質問や検査等)
  • 医療情報の秘密保持
  • 採用活動
  • 妥当な施設の提供
  • パンデミックに関連するハラスメント
  • 一時帰休や解雇
  • 職場への復帰
  • 年齢
  • 家族の介護
  • 妊娠

まとめ

従業員が安全に働ける環境を作ることが最も大切なことです。しかし、企業としても生き残るためにはビジネスを進めていく必要があることも事実。

連邦、州、ローカルとそれぞれの規定が一刻一刻と変化するため、最新の情報にアンテナを張り、弁護士の法的なアドバイスを受けた上でこの大変な時期を乗り越えて行きましょう。

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