「採用はスピードが命! 」の記事内でふれた、人事部の味方 ATS。Applicant Tracking Systemの略で、日本語では「採用管理システム」または「採用支援ツール」などと呼ばれています。
日本ではまだまだ歴史の浅いこのツール。アメリカでは、タレントマネジメントが概念化した2000年頃から普及し、現在は採用だけでなく人事・労務全体をカバーする大型SaaSに成長しています。
本日はもう少し踏み込み、ATSの魅力をより詳しく解説していきたいと思います。
ATSとは言葉の通り、応募者の受付から採用に至るまでの業務を一元管理できる機能を備えたシステムです。米国ではFortune 500の企業の98%、大手企業の66%、そして小規模企業も35%が使用と、ATSの導入が一般的だという調査結果を前回ご紹介しましたね。
米国大手求人サイトGlassdoorの調査によると、1件の求人にあたりの平均応募数は250。ここから最終的に1名を厳選するまで、人事担当者は膨大な情報量を扱うことになります。ATSを活用することで、これらを効率よく管理することができるという訳です。
以下のような機能が搭載されていることが一般的です。
「複数の求人サイトを行き来する」「エクセル上で情報をまとめる」「候補者ひとりひとりにメールを書いて送る」といった、人事の皆さんの手を煩わせる作業。
使用ツール数そのものを減らし、業務の一部を自動化を可能にするATSは、上記のような工数を削減し、効率化を図ってくれます。また、人的ミスの防止にも繋がるでしょう。
「どの媒体からどのくらいの応募があったのか」「面接の辞退率はどれくらいか」などのレポートを簡単に出力し、採用データの分析をすることが可能です。
またそのデータを蓄積することで、採用担当者が変わったとしても、円滑に引き継ぎを行うことが可能です。
ツールを導入するには、基本的に有料プランを購入する必要があります。ATSを導入することばかりに重きを置いてしまい、コストパフォーマンスが悪い結果となってしまう可能性も。
事業規模が小さく、年間の採用人数が決して多くない企業は、導入コストや運用コストに見合った業務効率化が計れないこともあるかもしれません。
様々な便利機能を搭載しているATSだからこそ、使いこなすのが難しいという声もゼロではありません。反ってマンパワーが必要になるという事態を避けるため、慎重な検討が必要と言えるでしょう。
それでは最後に、アメリカで主流なATSをご紹介しましょう。
名前 | ロゴ | 日本語 | 規模 | 概要 |
---|---|---|---|---|
ワークデイ | ○ | 大手企業 | ・2005年の創業以来、急成長 ・世界175カ国で9500社が採用 Fortune 50の70% Fortune 500の50%が導入 ・2013年に日本法人が設立されて以後、日本でも続々と導入が進む ・採用だけでなく、入社後の人事〜財務管理まで一元管理が可能なHRIS | |
ゾーホー リクルート |
○ | 中小企業 | ・1996年に創業 ・主力商品 ZOHO CRMは世界25万社以上の導入実績あり ・ZOHO Peopleと連携することで、入社後の人事管理も可 |
バンブーエイチアール | ☓ | 中小企業 | ・2008年にユタ州で創業 ・Shopify、Foursquare、Reddit等のスタートアップ企業で導入例あり ・ユーザーフレンドリーなインターフェースに定評あり |
ワーカブル | ☓ | 中小企業 | ・2012年にギリシャで創業 現在の拠点はボストン ・これまでに$80millionの資金調達に成功した注目企業 ・採用に特化したシステム モバイル版アプリもあり |
グリーンハウス | ☓ | 中小企業 | ・2012年にニューヨークで創業 ・DoorDash、DocuSignなどのスタートアップ企業も使用 ・カスタマイズ機能が充実 |