「従業員が100人以上の企業を対象に来年1月4日までにワクチン接種を義務化
違反した場合、一件あたり最大で$14,000の罰金を科す」
バイデン政権は、上記の新方針を11月4日に発表しました。
一方で、これらに同意できない州政府が国を相手に訴訟を起こすケースも日々ニュースで大きく取り上げられていますね。
ワクチン接種に関する議論が非常に盛んな現在のアメリカ。今回は、その現状と職場への影響を解説致します。
最新情報:2021年11月12日、連邦控訴裁判所が米国政府に対し本措置の差し止め命令を出した為、実施に至っておりません。動きがあり次第、内容を更新させていただきます。
まずは初めに、アメリカでは現状どれ程ワクチン接種が進んでいるのでしょうか。相対的に比較できる数値を見てみましょう。
以下は、2021年11月3日付けのG7各国の接種状況のグラフです。いち早くワクチン接種を開始したアメリカでしたが、ここへ来て接種率は7ヶ国のうち最低に転落してます。
以下は、2021年11月3日付けの日米の地域別接種率の比較です。
各都道府県60%後半〜70%前半で推移している日本とは対象に、アメリカは州によって20%以上の開きがあります。
この現状を打破しワクチン接種を推進する為に、国や自治体が法的な効力を持ち義務化をする動きが見られ始めています。
これまでは各個人の自由を尊重した上で、「接種者への特典(ギフトカード、現金等)贈呈」という形で接種を促進してきました。ただ接種率が鈍化し行き止まりを見せている今、「拒んだ者への罰則(解雇、停職、保険料値上げ等)」を与える政策を取らざるを得ない、という判断となったのでしょう。アメからムチへの転換といったところでしょうか。
アメリカが連邦レベルで設定している法令は以下の通りです。
州ごとのルールは、以下の通り。先述の通り地域によって大きくばらつきが出ている背景には、各州がそれぞれ異なる法令を制定していることが理由のひとつと言えそうです。
ワクチン接種義務化の対象範囲、接種ができない場合の代替案は、州によって異なりますが、大きな流れとしては以下が言えるでしょう。
カリフォルニアやニューヨーク等リベラルな州では、群や市ごとに別途の規則を設けている場合もあるので、お住まいの自治体の法律にも注意を払う必要があります。
また冒頭でもふれた通り、テキサス州をはじめとする保守派の州が「ワクチンの接種を義務づけることは違憲だ」としてバイデン政権を相手取り訴訟を提起するケースも出てきています。政治的な観点で連邦 vs 州の歪みも大きくなっており、これらの動向を見張ることも求められそうです。
上記の流れを持ち、雇用主・求職者のの視点で知っておくべきポイントは何でしょうか?
雇用主の皆様は、先述の通り自社の拠点、規模感に応じた措置やカンパニーポリシーの更新が求められるのは言うまでもありませんね。
ただその中で、様々な疑問が出てくることかと思います。顧問弁護士の方に相談の上、正しく法律を理解し適切なアクションをとることをお勧め致します。以下、想定しうる質問の回答を一部ご紹介します。
求職者の方は、今後ご自身の接種ステータスや希望に応じた求人を探すことが求められるでしょう。
実際に弊社にも、「現職でワクチン接種を求められた為、転職を希望しています」「現在居住の地域でワクチン接種が必須となった為、州外引っ越しを検討しています」などのご相談が増えてきました。
米国最大手の求人掲示板indeedからは、2021年7月~8月の1ヶ月間でワクチン接種を求める求人数が242%も急増したとのの調査結果が出ています。またこの動向は医療従事者などの対面の業務が発生する職種に限らず、リーガル系・アドミン系などのオフィスでの職種でも見られているようです。