“H-1Bビザの新規申請に10万ドルの申請料を課す“
2025年9月19日、トランプ大統領が新たな大統領令を発令しました。
これまで約1,500ドルだったH-1Bビザ申請料が、一晩にして約70倍に…。
アメリカで働くことを望む外国籍者にとって、キャリアの選択肢を再考させられる大きな契機となったことでしょう。そして重要なのは、今回の決定はアメリカ全体が移民政策をさらに厳格化していくシグナルでもあり、他のビザで労働している人にとっても見過ごせない動きという点です。
その中には、
「米国の現地採用を目指すよりも、駐在員の方が現実的なのでは?」
そんな考えを抱いた方もいるはずです。
そこで今回は、駐在員と現地採用の違いを改めて整理し、それぞれの選択肢のリアルを見ていきたいと思います。
早速、それぞれの立場の違いを見ていきたいと思います。
駐在員 | 現地採用 | |
---|---|---|
雇用契約 | 日本本社との契約・海外赴任は一時的な辞令 | 現地法人と直接契約 |
給与体系 | 日本本社水準+海外勤務手当 その他: 赴任前支度金・一時帰国手当・物価調整手当・ 帯同家族手当/単身赴任手当などの支給も有り | 米国市場基準 |
住居 | 社宅・家賃補助あり | 自己負担 |
子供の教育費 | 子女教育手当として会社負担のケースが多い | 自己負担 |
配偶者の就労 | ビザや安全性などの観点から禁止されるケースもあり | 制限なし |
税務 | Tax Equalization(税負担調整制度)で日本基準に近い ※日本に勤務していた場合に払うであろう税額と 同水準に、海外勤務時の税負担を会社が調整する制度 | 米国税制に従属 (連邦税+州税+社会保障) |
キャリア | 帰任後は本社昇進ルートが一般的 | 米国市場で競争 |
自由度 | 帰任前提・以降の勤務地は会社次第 (派遣期間は通常3〜5年程度が主流) | 転職・転居は基本的に自由 |
もちろん、ここでまとめた内容はあくまで一般論です。企業や業界によっては例外もあり、待遇の差がそれほど大きくないケースもあります。
ただし、大きく二分化して整理すると、それぞれの特徴は次のようにまとめられるでしょう。
駐在・現地採用の違いをより理解するべく2つのトピックで深掘りしてみましょう。
前提条件を以下の通りで、比べてみたいと思います。
職種:日系大手メーカー/商社の総合職
勤務地:ニューヨーク or NJ郊外(通勤圏)
家族構成:夫婦+子ども1人(未就学児/保育園)
駐在員 | 現地採用 | |
---|---|---|
年収 | 本社基準+手当:$120,000〜$150,000相当 | 市場水準:$80,000〜$100,000 |
家賃 | 会社負担(NJ郊外2BR:$3,000〜$3,500/月) | 自己負担:年$36,000〜$42,000 |
教育費 | 会社負担 | 自己負担:$20,000〜$35,000/年 |
医療保険 | 会社負担 | 家族加入で$8,000〜$12,000/年 |
税負担 | Tax Equalizationで日本勤務相当(実効税率20%前後に調整) | ニューヨーク州の場合:年収$100,000 → 手取り約$65,000〜$67,000 |
現地採用のサポートをしている私たちSTS Careerリクルーター。
その中でこんなご相談を頻繁に頂きます。
言うまでもなくアメリカでのキャリアアップをサポートすることが我々の使命であり、こういったご相談は大歓迎です!ただし現実をお伝えする中で、「思っていた以上に差異が大きい」と感じ、最終的に現地採用への切り替えを見送る方も少なくありません。
駐在員か現地採用か――どちらを選ぶかは、キャリアやライフプランに直結する大きな決断です。
私たちリクルーターが相談を受ける際に必ずお伝えしているのは、次のポイントです。
冒頭で触れた通り、H-1B申請料の大幅引き上げは、単なるビザの話にとどまらず、アメリカの移民政策厳格化の姿勢の表れでもあります。駐在員であれ現地採用であれ、準備と戦略次第で、不透明な環境の中でも、アメリカでのキャリアを前向きに切り拓くことができるはず。
本記事が、キャリア選択を考える皆さまの判断材料のひとつになればと思います。