転職大国アメリカ
労働者は4年に1回転職する?!


松の内も過ぎ、多くの地域で本格的な寒さが到来していることかと思います。
「今年こそ、キャリアアップを目指したい!」と新年の抱負を掲げた方もいるのでは。

「日本の終身雇用制」は崩壊したと言われるようになって久しいものの、転職に対するマイナスなイメージがどこか残る日本。
一方アメリカでは、転職はごくごく一般的。労働局の調査によると18歳から48歳までの間に就く仕事の平均数は12という結果も。

アメリカの転職社会を形作る背景は?またそのカルチャーの中で、どうしたら仕事探しを成功させられるのか?今回は改めて「転職」そのものにスポットライトを当てて、解説していきたいと思います。

1.アメリカの人材市場

まずはアメリカにおいて、転職がどれだけ一般的かを顕著に示すデータをもう少し見てみましょう。
以下は、先進国の従業員の平均勤続年数リストです。

11.9年という日本の数値に対し、アメリカは4.2年。
その他の国と比べても、アメリカの労働者は群を抜いて転職のスピードが速いことがわかります。

金属年数グラフ

参照:2018年国際労働比較 | JILPT

また求人情報専門の検索エンジンindeedによる以下のような調査も発表されています。

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65% の被雇用者が、新しい仕事に就いた91日以内に求人サイトを閲覧する。 71%の被雇用者が、現在仕事に就いていつつも積極的に仕事を探している

参照:What Matters to the Modern Candidate

日本的な感覚からすると、驚きの数字かもしれませんね。
アメリカを「転職社会」と呼ぶべき所以を、お分かりいただけたのではないでしょうか?

2. 転職社会の背景

ではアメリカの労働者は、なぜこれほど短い期間で転職を繰り返すのでしょうか。
理由は数多くあると考えられますが、代表的なものをいくつか紹介します。

ライフワークバランス

「終身雇用性」の労働感にも見られる通り、会社に忠誠を尽くす日本の働き方は、どちらかと言えば会社中心と言えるでしょう。「就職」の代わりに、「就社」という言葉が使用されたりしますね。

一方アメリカでは、会社・仕事は自身の人生を豊かにする手段のひとつ。我慢をして働くという考え方はあまりなく、自分の理想のワークスタイルや待遇を求め転職をすることは、ごく一般的です。

雇用制度

採用者に仕事を割り当てる「メンバーシップ型雇用」の日本。
ある特定の職務に対して即戦力となるスペシャリストを求める「ジョブ型雇用」のアメリカ。
この2つを比較してみましょう。

   日本 | メンバーシップ型アメリカ | ジョブ型
概要 人ありきで、職務が与えられる職ありきで、人が当て込まれる
採用方法 特定期間に一括採用欠員に応じた通念採用
特徴 ●人材を大量に獲得し、社内研修で職務に必要な知識と経験を積ませる
●職務内容や条件に明確な規定がない為、会社は転勤や部署異動を命じることができる
●ジョブディスクリプション(職務記述書)内で職務内容や条件を明確に定めた上で雇用契約を結ぶ
●転勤や部署異動など、ジョブディスクリプションに書かれていない命令に従う義務はない

参照:今後の労働のあり方 | 首相官邸

このように日米では雇用のスタイルが全く異なることが見てとれます。

メンバーシップ型雇用は「終身雇用」「年功序列」を前提としていますが、ジョブ型雇用は給与や待遇が職務内容によって定められた「能力給制」。これは裏を返せば、あるポジションで採用されている限り、昇格・昇給という概念は基本的にはないということ。

Forbesによる以下のような調査結果もあります。

一つの会社・ポジションで経験を積み、キャリアアップの為に転職するというスタイルが人材の流動性の根本にもあるのでしょう。

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米国では2年以上同じ会社に勤めた人は、生涯賃金を比較すると、そうでない人の50%以下の給与しか得られない。

成果主義

先述の通りある、特定の職務に対して即戦力となるスペシャリストを求め人を採用する「ジョブ型雇用」のアメリカでは、採用後も常に結果が求められます。

長く働くほど評価される「年次評価制度」に加え、「目的に到達するまでの過程」を重要視する風潮もあると言わる日本。一方、アメリカでは「どれだけ会社に利益をもたらしたか」がキーポイント。パフォーマンスが伴わない場合、レイオフ(解雇)をし、人員を入れ替えることも一般的です。

3.転職成功の基本

上記の現状・背景を踏まえ、仕事探しを成功させるポイントとは?

人材会社の利用

このように流動性の強いアメリカの人材市場は、日々ファストペースで動いています。
突発的な需要であり緊急の採用が必要、コンフィデンシャリティの高い非公開求人である、等の場合、公に出ることなく紹介経由で選考・採用が完結することもしばしば。

US Newsによる以下のような調査結果もあります。

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70% の求人が求人サイトに掲載されていない。

よって、人材会社・リクルーターの使用は、日本のそれ以上にシナジーを生み出すとも言えます。
アメリカには無数の人材会社が存在し、それぞれ強みが異なります。自身のニーズにあわせ、選択することをお勧めします。(例:日本語バイリンガルに特化、ITエリアを専門 etc)

ネットワーキング

人材会社に登録することに加え、ネットワーキングを通し直接リクルーターや企業のHR担当者と繋がることも有効的でしょう。

特にお勧めしたいのが、ビジネス特化型SNS LinkedInの利用。有能な人材に能動的にアプローチしたいと思っている企業とコネクションを持つことは、きっとあなたの転職に役に立つはず。

同社の調べによると、日本ではその他のSNSと比較しまだ馴染みが薄いよう。アメリカをはじめ世界各国では普及率が高く、2023年時点でユーザー数は9億人を超えています。

ネットワークンググラフ

WEB環境の整備

先に言及した労働感から、「優秀な人材を州外や海外からでも採用したい、引越しに伴う費用は会社が負担する」という在米企業も少なくありません。国土の広いアメリカですから、選考プロセスが全てオンラインで完結することも一般的。

そこでWEB環境を整えておくことも、大切なポイントのひとつだと言えます。代表的なツール ZOOM、Microsoft Teamsなどは事前にインストールをし、使用方法に慣れておくことも役に立つのではないでしょうか。

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郷に入れば郷に従え。転職大国アメリカは一見非常に厳しく映りますが、見方次第ではキャリアアップのチャンスがたくさん転がる魅力的な国。理想の仕事を見つけ、より豊かな生活を手に入れたいですね。

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