”Job Hopping = アメリカでのキャリアアップの鉄則”
転職大国アメリカでは、労働者は4年に1回転職をすると以前ご紹介をしましたね。
キャリアアップのために積極的に転職を重ねる人は、Hop(跳ねる) という言葉を使って Job Hopper と呼ばれてきました。
ところが、最近増えているのが Job Hugger。
Hug(抱きしめる) から転じて、「辞めたい気持ちはあるけれど動けない」「今の職にしがみつかざるを得ない」人を指します。
アメリカの労働市場ではいま何が起きているのか・・・?
その背景とJob Huggingの実態に迫ってみましょう。
Resume Builderが2025年9月に発表した調査結果は以下の通りです。
辞めたい気持ちがあっても「次が見つからないかもしれない」という不安から動けない実態、そしてそれが一時的ではなく長期化していることがうかがえます。
それでは、その不安を生み出している原因は何なのでしょうか?
背景にあると考えられる主な要因を3つ挙げてみましょう。
米国労働省が2025年8月に発表したJOLTS(Job Openings and Labor Turnover Summary | 雇用動態調査)の結果は以下の通り。
より分かりやすくする為、Job Hopping全盛期と言ってもいい2021年頃の“Great Residnation(大離職時代)”と比較しつつご紹介したいと思います。
2021年頃 | 2025年8月 | 変化・解釈 | |
---|---|---|---|
求人数 | 約1,210万件 | 約722万件 | ピーク時の約40%減。採用意欲が大幅に落ち込んでいる。 |
求人率 | 約7%前後 | 4.3% | 求人倍率が低下し、選択肢が狭まった。 |
自発的離職率 | 約3%(史上最高水準) | 1.9% | 過去平均(2%)も下回る低水準。 |
離職件数 | 約450万人/月 | 約310万人/月 | 実際に辞める人の数も減少。Job Huggingを裏付けている。 |
企業は「雇うより様子見」、労働者は「辞めても次が見つからない」そんな様子を裏付けるデータですね。こういった流動性の低下が、市場を停滞させていると言えそうです。
上記に加えて、同調査で強調されているのは、、「AI によって就職が難しくなる」と懸念している人が多い点です。実に77%の Job Huggerが、自動化への懸念を示しています。
さらに関連研究では、LLM(大規模言語モデル)や AI の発展が、タスクの自動化や仕事の再定義を加速する可能性も指摘されており、高スキル層/中スキル層の業務にも影響が及ぶ可能性があります。
「AIが人間に取って替わるかも・・・」
これまで漠然としていたそんな不安が、実際に多くの人にとってのリアルな恐れに変わってきているのでしょう。
ロイター通信は、2025年9月にこのように報じています。
先行きの見えない要素が、米国企業を「積極拡大」から「慎重様子見」へと舵切りさせ、新規ポジションの凍結や予算計画の延期に導いているとのこと。特に国際取引に依存する企業や外資系企業では、政策の行方次第で採用計画そのものを見直さざるを得ないケースも増えています。
このように、政策と経済の不透明さが「企業の採用停滞」を生み出し、結果として『労働者が辞めにくい心理=Job Hugging』を一層強めているのです。
労働市場が揺れていても、日々の仕事は待ってはくれません。
目の前の業務や家庭の責任を果たしながらも、「転職したいけど動けない」「今の環境にしがみつくしかない」─ そんな思いを抱える人が増えていることかと思います。
こうした不安定な時期だからこそ、リクルーターとして私たちが皆さんにお伝えしたいのは次のポイントです。