「ゴースト・ジョブ」
〜求職者を悩ませる幽霊求人とは?〜


「何カ月も同じ求人が出ている・・・ ずっと採用しているのだろうか?」

米国で就職・転職活動をしていると、このような疑問を抱いたことがある方も多いのではないでしょうか。

もちろん、応募条件とのミスマッチなどが理由で、継続して採用をかけているケースも少なくありません。しかし近年では、それだけでは説明できない現象も注目されるようになっています。
その一つが、Ghost Jobs(ゴースト・ジョブ)です。

日本語では「幽霊求人」「空(から)求人」「おとり求人」などと呼ばれ、実際には積極的に採用を進めていない、あるいは直ちに採用する予定がないにもかかわらず掲載され続けている求人を指します。

以前はSNSや求職者の間で語られることが多かったこの言葉ですが、近年は社会的な関心も高まり、一部地域では求人の透明性向上を目的とした法規制の議論も始まっています。

本記事では、このGhost Jobsについて解説していきたいと思います。

1. Ghost Jobsは本当に存在する?

2023年頃からSNSで求職者の体験談とともに広く知られるようになったGhost Jobs。

昨今では単なる噂ではなく、複数の調査でもその存在が示されています。
例えば、以下の調査結果を見てみましょう。

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約40% の採用担当者が過去1年間に空求人を掲載したことがあると回答
約30% の採用担当者が現在進行形で空求人を掲載していると回答

参照: Resume Builder | 3 in 10 Companies Currently Have Fake Job Postings Listed

もちろん、これはすべての企業や求人サイトに当てはまるわけではありません。

しかし、「Ghost Jobs」という現象自体は、採用市場で実際に認識されている課題の一つと言えるでしょう。

2. なぜGhost Jobsは掲載されるのか?

Ghost Jobsと聞くと、「企業が求職者をだましている」と感じる方もいるかもしれませんね。
しかし実際には、必ずしも悪意があるケースばかりではありません。

例えば、以下のような企業側の事情によって掲載が続いているケースもあります。

  • 将来の採用に備えて候補者を集めておきたい
  • 急な欠員に備えて応募を受け付けておきたい
  • 社内承認待ちで正式採用を開始できない
  • 人材市場や給与相場を調査したい
  • 企業の認知度や採用ブランドを維持・向上させたい

こうした背景もあり、採用担当者を対象とした調査では、次のような結果も報告されています。

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約70% の採用担当者が「Ghost Jobsの掲載は倫理的に許容できる」と回答

参照: Resume Builder | 3 in 10 Companies Currently Have Fake Job Postings Listed

求職者にとっては「応募しても採用されない求人」と映る一方で、企業側では「将来の採用活動の一環」として捉えられているケースも少なくありません。

つまり、企業と求職者では、Ghost Jobsに対する認識にギャップがあることが分かります。

3. 社会問題として広がる議論

こうした認識のギャップを背景に、Ghost Jobsは近年、採用の透明性という観点から社会的な議論へと発展しています。

                           
地域 ポイント内容
カナダ
オンタリオ州
規制導入済み2026年1月より新しい州法(Working for Workers Five Act)が施行。企業は求人が「実際の欠員」か「単なる将来の予定」かを明記する義務がある他、面接後の合否連絡が義務化。違反した場合は最大10万カナダドルの罰金が科される可能性がある。
ニューヨーク州 法案州議会可決
州知事署名待ち
2026年6月にGhost Jobs対策法案(S8877)が州議会で可決。100人以上の従業員を抱える企業などに対し、「実際の募集か」「将来の採用に向けた募集か」の開示、採用後2週間以内の求人削除などを義務付ける内容。州知事の署名後即日施行される予定。
カリフォルニア州 法案提出2025年2月にGhost Jobs対策法案(AB1251)が提案される。求人広告に、そのポジションが実際の空席(existing vacancy)かどうかを明示することを求める内容。
テキサス州 調査開始テキサス州司法長官がLinkedInに対する調査を開始。Ghost Jobsがあることを十分説明しないまま、有料サービス(LinkedIn Premium)を販売したことが、消費者保護法に抵触する可能性があると問題視されている。

このように、Ghost Jobsそのものを一律に禁止するというよりも、求職者が誤解しないよう、採用活動の透明性を高めようとする動きが広がっています。

企業側の事情も理解しつつ、求職者が安心して応募できる環境をどう整えていくかが、今後の大きなテーマと言えるでしょう。

4. 返事が来ない=Ghost Jobではない

ここまでGhost Jobsについてご紹介してきましたが、応募後に返事が来ない理由が、すべてGhost Jobsというわけではありません

実際の採用現場では、

  • 応募が想定以上に集まり、すべての応募者へ個別に連絡できない
  • 社内候補や紹介で採用が決まった
  • 採用計画や予算が途中で変更になった
  • 一時的に採用を見合わせている

など、さまざまな事情が存在します。

リクルーターとして企業と求職者の双方に関わる中でも、求人票だけでは見えない採用計画や事業上の事情を知る場面は少なくありません。 一方で、応募者にとっては、一件一件の応募が大切な挑戦です。

Ghost Jobsという言葉だけに振り回されるのではなく、市場の仕組みを理解しながら、一つひとつの結果に過度に左右されず転職活動を続けることが重要だと感じています。

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