
「約20人に1人が、以前勤めていた会社へ戻っている。」
LinkedInの調査によると、2021年に米国で採用された人材のうち約4.5%は、一度退職した会社へ再入社した「Boomerang Employee(ブーメラン社員)」でした。
日本では「出戻り」という言葉もあり、少しネガティブな印象を持つ方もいるかもしれません。しかしアメリカでは、こうした再雇用は決して珍しいものではありません。人材獲得競争が激化する昨今は、企業にとっても、求職者にとってもメリットのある採用・キャリア形成の形としてさらに注目を集めています。
本記事では、Boomerang Employeeが注目される背景や、それを支える「アルムナイ採用」の考え方についてご紹介します。
参照: LinkedIn | Why Boomerang Employees Will Become More Common

Boomerang Employeeとは、一度退職した会社へ再び入社する社員のことです。
以前は「退職=会社との関係は終わり」と考えられることも多くありました。しかし近年では「一度社外で経験を積み、成長した人材が戻ってくること」を前向きに捉える企業が増えています。
また、退職後も元社員とのつながりを維持するため、Alumni Network(アルムナイネットワーク)を運営する企業も少なくありません。ニュースレターの配信やイベントの開催などを通じて関係性を保ち、将来的な再入社につなげる取り組みも広がっています。

一度退職した社員が再び同じ会社へ戻るという考え方自体は、以前からアメリカに存在していました。
しかし近年、この言葉が注目されるようになった背景には、採用市場や働き方の変化があります。
慢性的な人材不足や採用競争の激化により、優秀な人材を採用・育成するためのコストは年々高まっています。そこで企業は、「新しい人材を探す」だけでなく、すでに自社で活躍した実績のある元社員にも目を向けるようになりました。
企業にとって、Boomerang Employeeには以下のようなメリットがあります。
新規採用よりも効率的かつ安心して採用できることから、多くの企業が再雇用を採用戦略の一つとして取り入れています。
近年は、リモートワークの普及や働き方の多様化、コロナ禍を経た価値観の変化などを背景に、「自分に合った環境」を重視する人が増えています。
その中で、一度転職した社員が前職へ戻る理由として、次のようなケースが挙げられます。
企業側も再雇用を前向きに受け入れるようになったことで、「一度退職した会社へ戻る」という選択肢は、以前よりも自然なキャリアパスの一つとして定着しつつあります。

Boomerang Employeeという考え方の広がりを受け、企業側でも「元社員とのつながり」を採用戦略として活用するアルムナイ採用が注目されています。

従来は「退職=会社との関係は終わり」と考えられることも少なくありませんでした。しかしアルムナイ採用では、退職をキャリアの終着点ではなく、一時的な節目と捉えます。
こうした考え方はアメリカ企業で先行して広がり、日本企業でも人材戦略の一つとして注目されるようになってきています。
| 企業 | 主な取り組み | アクセンチュア | 世界30万人規模のネットワークを通じて継続的な関係を構築。元社員向けイベントや求人情報を提供するだけでなく、専門知識の共有・新規ビジネスの発掘など、アルムナイ活用の先進事例として認知されている。 |
|---|---|
| リクルート | 「カムバック採用」を実施。また、企業向けに総合タレントプール採用支援サービス「Alumy(アルミー)」を提供し、他社のアルムナイ採用の仕組みづくりも支援。 |
| 三菱電機 | 2024年1月「Re-MELCO ~アルムナイネットワーク~」を新設。「人的資本経営」推進の一環として、多彩な人材の採用強化を目指す。 | スープストックトーキョー | 退職者に「バーチャル社員証」を発行する「バーチャル社員制度」を導入。再雇用だけでなく、社内イベントへの参加や社内報の受け取りなど、退職後も関係を維持する仕組みを整備。 |

Boomerang Employeeという言葉から、「元の会社へ戻ること」を勧める記事だと思われた方もいるかもしれません。しかし、本記事でお伝えしたいのは、「退職しても、人との縁は続く」という採用の本質です。
リクルーターとして企業と求職者の双方に関わる中でも、転職はゴールではなく、長いキャリアの通過点だと日々感じています。実際以下のような、人とのつながりが次のキャリアにつながる場面も多く目にします。
将来同じ会社へ戻るかどうかは別としても、円満退職を心掛け、良好な関係を築くことは、長い目で見て大きな財産になるでしょう。
Boomerang Employeeは、単なる「再雇用」の話ではなく、人との縁を大切にすることが、長いキャリアを支えるというアメリカの採用文化を象徴する言葉なのかもしれません。
