「I QUIT.」=「仕事を辞めました。」
というタイトルの動画が、ここ数ヶ月続々とYouTubeに挙がっていることをご存知でしょうか。
パンデミックが発生し約1年半が経過した今日、アメリカでは自ら会社を退職する従業員が続出する「大辞職時代」が到来したと言われています。連日のようにニュースでも報道されているので、既に耳にしているかもしれませんね。
大辞職時代とは一体何なのか。どんな経緯で発生しているのか。
今回は、2021年秋の最新の人材市場情報を解説します。
米国労働局発表の求人異動調査(JOLTS │ The Job Openings and Labor Turnover Survey)によると、自発的に会社を退職した労働者の数は、2021年8月に月間400万人を超え、2000年の調査開始以来、最高の離職率に達しました。
この現象を、テキサスA&M大学経営大学院のアンソニー・クロッツ准教授が「Great Resignation(グレート・レジグネーション、別名 Big Quit)」と命名しました。
他にも、以下のような調査結果が出ています。まだ実際にアクションはとっていないものの、辞職を考えている潜在層が非常に沢山いるということですね。
これまで我々人類は
「The Great Depression=世界大恐慌(1930年代)」
「The Great Recession=金融危機/リーマンショック(2008年)」
など、「Great」が冠される時代の転換期を迎えてきました。今回の大辞職時代も、一連の出来事同様にどれだけ深刻な現象なのかが、お分かりいただけるかと思います。
なぜ上記の業界・年齢層で顕著なのか。その鍵を知るべく「人々が今仕事を辞めたいと考える理由」を次の段落でお伝えします。
史上最高値を記録したコロナ禍の失業率。数え切れない人が職を失い、苦しみました。
そんな中ようやくパンデミック収束の兆しが見え、経済がまわり始め、求人数も増加。これぞ待ちに待った状況のはず。なのになぜ人々は今、仕事を辞めることを望んでいるのでしょう?
様々な見解がありますが、中でも注目すべき5つの理由を挙げてみます。
最も頻繁に提起されるのが、燃え尽き症候群(バーンアウト)です。例えば、
など、責任を感じ頑張ってきた社員が、離職を決断するケースが多く挙げられるようです。
物事がリモートでも運用可能だと証明された今、出社を求められないフレキシブルな勤務形態を求め転職をする人が多く見られます。こちらも上記同様、辞職を助長する主たる理由として挙げられています。
世界最大級のクラウドソーシングサービスUpwork社は、4,000人を対象に行った以下のようなおもしろい調査結果を発表しています。
パンデミックを経験し、人生や死について、そして自身の生活、家族、仕事についてこれまでにはない形で向き合うようなった方も多いはず。
英系の大手人材会社Hays社が2万5,000人を対象に行なった調査によると、実に7割以上の人がコロナ禍をきっかけに現在の仕事やキャリアを疑問視するようになったと回答しています。
「人生一度きりだから、本当にやりたいことを追求したい」
「納得のいかない給与しかくれない会社で悠長に働いていられるほど、人生長くはない」
そういうYOLO(You Only Live Once)的な考えを持つ人が増えてきているのかもしれません。
様々な制限が緩和され始め、人々の経済活動が元に戻りつつある今、多くの企業が一斉に採用活動を再開。求人件数も右肩上がりの状況が続いています。米国労働局の調べによると、2021年7月には1,100万件と過去最高値を記録しました。
時代は圧倒的な、究極の、売り手市場に突入しています。
売り手市場にてよく見られる「Ghosting(ゴースティング │ 採用したにも関わらず、入社日や入社後に現れず音信不通になることをゴースト/おばけに例えた表現、いわゆるバックレ」も増えているというニュースも見かけます。
「何かあってもまた仕事を探せばいい」「選ぶ余裕がある」という安心感は、労働者の転職を後押ししている大きな要因のひとつと言えそうです。
パンデミックは落ち着きつつあるのかもしれません。しかし決して、過去の出来事ではなく、今も我々の生活の一部であることは言うまでも有りませんね。以下のように、安全面・健康面の観点から退職に結び付くケースも一定数存在するようです。