アメリカの最低賃金
〜従うべき法律と給与設定のポイント〜


豚の貯金箱

「カリフォルニア州 ファストフード店従業員の最低賃金 3000円に!!!」

こんな見出しのニュースが、今年初旬に日本で話題を集めていたのも記憶に新しいのでは。

アメリカでは2024年1月1日をもち、全米50州のうち22州が最低賃金を引き上げました。
また、カリフォルニア州を含む複数の州で2025年1月1日からの更なる引き上げが決定しています。

同じく最低賃金見直しが進む日本ですが、国内最高値の東京都でさえも「時給1054円」。この差は歴然ですね。

昨今の物価高とも相まり、座視できない「ミニマムウェイジ」と、日系企業が失敗しがちな「給与設定」に関し今回は解説していきます。

1. 従うべき原則

アメリカでは、各地域毎に最低賃金が定められています。

これは、日本が都道府県別の最低賃金を定めているのと同様です。ただしご存知の通り、国(連邦)と各地方自治体がそれぞれ独自のルールづくりをするのがこの国。複数の法律が混在することも稀ではありません。

このようなケースがあてはまる場合、雇用者は最も厳しい法律/労働者に最もメリットがある法律=最も高く設定されている最低賃金に従うことがルールとなっています。

また以下記載の一部の例外を除き、全労働者に最低賃金のルールは適応されます。

  • 年齢/成人 or 未成年に関係なく全従業員に適応
  • チップ受取の有無に関係なく、全従業員に適応
  • 例外:外回りの営業ポジションの場合・雇用主の親族である場合・身体的障害をお持ちの方向けの非営利団体での雇用である場合などは、一部免除となるケース有 

2. 自治体ごとの最低賃金

連邦・州・都市が定めるそれぞれの最低賃金を見ていきましょう。(2024年8月現在)

連邦

アメリカ連邦政府が定めている最低賃金は$7.25 / 時間となっています。

2024年1月1日をもち最低賃金を引き上げ、かつ日系企業が多く拠点を置く州を以下ピックアップしてみました。

           
州名 改訂前改定後引き上げ率改定理由
アリゾナ $13.85 $14.35 3.6% 物価連動
カリフォルニア $15.50 $16.00 3.2% 物価連動
コロラド $13.65 $14.42 5.6% 物価連動
ハワイ $12.00 $14.00 16.7% 段階的引き上げ
イリノイ $13.00 $14.00 7.7% 段階的引き上げ
ミシガン $10.10 $10.33 2.3% 段階的引き上げ
ニュージャージー $14.13 $15.13 7.1% 段階的引き上げ
ニューヨーク $14.20 $15.00 6.7% 段階的引き上げ
オハイオ $10.10 $10.45 3.5% 物価連動
ワシントン $15.74 $16.28 3.4% 物価連動

都市

大都市では、州規定の最低賃金よりも高い額面を設定しているケースもあります。代表的なものを以下にてご紹介します。

   
都市名 最低賃金州規定額との差
ニューヨーク市 $16.00 + $1.00
ロサンゼルス市 $17.26 + $1.26
サンフランシスコ市 $18.67 + $2.67
サンノゼ市 $17.55 + $1.55
サニーベール市 $18.55 + $2.55
シアトル市(従業員500名以上の場合) $19.97 + $3.69
シカゴ市 $16.20 + $2.20

3. 給与設定のポイント

日系企業は給与設定で失敗しがち。
特に、米国に進出したばかりの企業様でそのような傾向が見られることが多いです。

的外れな給与設定の場合、以下のようなケースが頻繁に見られる為、市場に沿った数字を的確に設定することをお勧めしたいです。

  • 人材が集まらず、採用が難化する
  • 採用できたとしても、人材の質が決して良くない
  • 採用できたとしても、定着率が悪い

とは言え、日本とはあまりに異なる給与感。
「日本本社が納得してくれません」「稟議を通すのに、根拠あるデータが必要です」と言ったご相談も受けます。

もちろん弊社STS Careerで過去の知見を基にアドバイスをさせていただくことが可能です。
また、以下のようなWEBサイトで職種・地域別の給与水準を検索することもできるので参考にしてみてはいかがでしょうか。

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法的観点でも、採用戦略の観点でも、非常に重要なサラリー。最低賃金の規則を遵守しつつ、市場感にあった給与設定を目指したいですね。採用者様も求職者様も、ご相談があれば担当リクルーターに気兼ねなくお声がけください。

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