少子高齢化が進む日本。「人手不足」が叫ばれ久しいですが、実は人材難は現代社会がグローバルレベルで直面している深刻な問題です。
そして昨今の売り手市場との相乗効果で、企業は未曾有の採用難に対峙しています。
「給与」「働きやすさ」「手厚い福利厚生」・・・
採用活動を成功させる為に取るべき企業努力をあげればきりがないですね。その中で近頃注目を浴びているのが、求職者への世代別アプローチです。
今回は労働力人口を構成する各ジェネレーションの特徴をご紹介しつつ、採用の秘訣に迫っていきたいと思います。
大手人事コンサルティングファーム コーン・フェリー社は、上記の調査結果を2021年に発表しています。世界レベルで見れば人口そのものは増加し続けているにも関わらず、人材難が起こっている原因は何なのでしょうか?
理由は複数あるでしょうが、うち代表的なものを2つをご紹介します。
パンデミックにより、ベビーブーム世代(※後段にて詳しく解説)の退職に拍車がかかっています。米系世論調査団体 ピュー研究所の調査によると、2020年第3四半期(7〜9月)だけで同世代の退職者は2860万人に。これは前年より300万人も多い数字です。
感染リスクへの不安に加え、コロナ禍で生じた資産価格の急上昇が労働市場からの早期退出につながった可能性を専門家は指摘しています。
上記で記載した高齢労働者は、言うまでもなく現場のノウハウを知った「熟練労働世代」。彼らの業務をカバーできるスキルを持ち合わせた若年層は多くなく、また十分な教育やトレーニングに受ける時間もない現状。故に、業務ボリュームと労働力に埋めることのできないの差が発生してしまっている状態なのです。
世界の人材難の実態をご説明したところで、本題の「世代」に話を移しましょう。
「ミレニアル世代」「ジェネレーションZ」などの言葉は、最近では世界共通語となりつつありますね。これらの世代区分は、実はアメリカ発祥のものです。日本の世代区分と比較しつつ、それぞれの世代の時代背景と特徴をご紹介します。
名称 | 米国人口比 | 特徴 |
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ベービーブーマー | 21.45% | ・現在、50代後半~70代半 ・第2次世界大戦終結後の人口爆発に生まれた人々を指す ・冷戦、ベトナム戦争、キューバ危機などの激動の時代を生きる |
X世代 | 19.71% | ・現在、30代後半から50代半ば ・アナログからデジタルに移行した時代を生きた為「デジタルイミグラント」とも呼ばれる ・ベルリンの壁崩壊、石油ショックなどを経験 女性の社会進出や離婚率の増加など、家庭を取り巻く環境も大きく変化 |
Y世代ミレニアルズ | 21.93% | ・現在、20代後半から30代後半 ・ITの進化を肌で感じ、台頭を目の辺りにしており、「デジタルパイオニア」とも呼ばれる ・西暦が1000年代から2000年代に変わる境目の世代である「1000年間」を意味するmillennialsとも呼ばれる |
Z世代 | 20.35% | ・現在、25歳以下 ・生まれた時からテクノロジーが確立しており、「デジタルネイティブ」とも呼ばれる ・初めてのアフリカ系大統領の誕生や、移民・ジェンダー等に関する盛んな議論に触れてきたことから、多種多様な価値観を持ち反差別的で平等を重んじる |
戦後の高度経済成長やバブル期を経験したベビーブーマーズ。
働けば働くほど賃金が手に入り、投資すればするほど大金が舞い込んだ時代でした。故に勤労意欲が高く、「努力は必ず報われる」「正しい行いは評価される」という価値観を持つ傾向が強いです。
引退が近い労働層が多いため、以下のような老後・健康に関するベネフィットを重要視する方が多いようです。
ライフスタイルやテクノロジーの劇的変化を経験したジェネレーションX。故に、順応性の高さが特徴として見られます。また戦後の高度成長期が終焉期を経験したこと等から、職場への帰属意識が薄い反面起業家精神や主体性が強いです。
がむしゃらに働いたベビーブーマーとは異なり、ワーク・ライフ・バランスの概念を確立した世代であり、以下のような仕事と私生活の調和を重要視する傾向にあります。
テクノロジーと共に成長してきたジェネレーションY。斬新で独創的であり、長期的な視野を持って物事を考える要素が強いです。また、「お金・富」より「体験・価値」を重視する傾向にあり、学びに対する熱意と教養の高さが際立ちます。
公私ともに継続的な成長を求めており、以下のようにキャリア・教育・家庭それぞれのサポートを望みます。
SNSで気軽に世界中の情報をサーチできる時代に育ったジェネレーションZ。社会問題や環境問題への関心が非常に高いです。
また、リーマンショック後の家庭の財政的困難や、パンデミックによる自身の就職難などの経験から、経済面では保守的でリアリストな一面もあります。
仕事とプライベートを分けてバランスを取る考え方「ワークライフバランス」をさらに押し進め、、仕事もプライベートも人生を充実させる大切な要素として統合的に捉える考え方「ワークライフインテグレーション」に価値を置いています。