「ガソリン代が高すぎるから、車を売って馬に乗り換えたよ!」
最近アメリカで話題になっているTiktok上の動画をご存知でしょうか。
荒唐無稽な内容に聞こえますが、昨今の記録的インフレに震える視聴者の心を掴み大流行。1000万回近くの再生を記録した動画として、ニューヨークタイムスにも取り上げられました。
この歴史的な物価高騰は、政権への批判も込め「バイデン・フレーション」と揶揄されることも。
今回は、現在アメリカで起きているインフレの現状と、職場への影響を解説していきます。
米国労働局が2022年5月に発表した消費者物価指数(CPI │ Consumer Price Index)によると、前年同月比より8.6%上昇。1981年12月以来、40年5ヶ月ぶりの高い伸びを記録しました。
アメリカ在住の方は、日々ひしひしと感じているであろうこの物価高騰。しかし、日本にお住まいの場合「無味乾燥なインフレ率のデータを見るだけではイメージが沸かない!」という方もいるかもしれませんね。
以下は、同じく米国労働局発表の各商品の一年間の価格上昇率です。実際に、消費者の生活レベルでどれほどのインパクトがあるのかお分かりいただけるのではないでしょうか。
歯止めのないインフレーションは職場へも大きな影響を与えています。
いくつかご紹介していきましょう。
従業員が業務において個人の車を利用した場合、IRS(アメリカ国税局 │ Internal Revenue Service)が定めるStandard Mileage Rateが精算に使用されます。
このレートは毎年末に発表され、翌年1年間通年で同じレートが適用されるのが慣例。しかし2022年はガソリン高騰を加味し、年の半ばで改定されました。
これは2011年以来のイレギュラー措置であり、かつ過去最高値となります。
年 | 1マイルごとのレート(セント) |
---|---|
2022 | 58.5 /マイル ⇒ 7月1日以降 62.5 / マイル |
2021 | 56.0 /マイル |
2020 | 57.5 /マイル |
2019 | 58.0 /マイル |
2018 | 54.5/マイル |
米国労働局によると、インフレーションにより給料の実際の価値は2021年5月からの1年間で3.9%下落しているよう。
例えば時給$20で勤務している人は、現在$19.22分しか 実入りがないということになります。これは年間に換算すると、$2,000近く。決して小さな額ではないですね。
SHRM(米国人材マネジメント協会)は、雇用主に対し以下のようなアクションを提唱をしています。
U.S. Travel Association(米国旅行協会)が2022年春に発表の調査によると、84%のビジネスマンが向こう6ヶ月に少なくとも1度は出張をし、トレードショー・コンフェレンス・コンベンションに参加予定と答えたそう。
以下からも分かる通り、パンデミックを通して、face-to-faceによる真の繋がりの重要性を改めて認識した人が多いようです。
ここで立ちはだかるのが、インフレによる出張費の高騰。ニューヨークのホテルを例にすると、2019年の平均は$355/泊だったのに対し現在は$458/泊だと、旅行ニュースサイト Skift社は報じています。
いかに出張費をおさえるかが試される今日。以下Expedia社発表のトレンドからも、コストセービングに奮闘するビジネス・トラベラーの姿が伺えます。