Microsoftのビル・ゲイツ。Appleのスティーブ・ジョブズ。Facebookのマーク・ザッカーバーグ。
彼らの共通点、お分かりでしょうか?
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そう。皆、”大学中退起業家”たち。彼らのサクセスストーリーは数多くの映画や本で取り上げられており、あまりにも有名ですね。ここから、「学歴社会の日本と違い、アメリカは実力一本で勝負する世界だ」そんな風に感じている方も多いかもしれません。
しかし、このようなドロップアウト組の成功例は、氷山の一角。採用に関わる身として、アメリカこそが、真の「超学歴社会」だと感じます。
今回は、就職という観点からアメリカの大学事情を日本と比較しつつ解説したいと思います。
まずは簡単に、学位の英語表記をご紹介します。
以下は、各国の学位取得に対する意識の違いを示す文部科学省実施の調査結果です。人口100万人当たり学士号・修士号取得者数はご覧の通り。
日米のみを比較すると、米国の方が学位取得に対し高い意識を持っていることが見て取れます。
学位 | 日本 | アメリカ |
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Bachelor’s Degree | 4,481人 | 6,043人(日本の1.3倍) |
Master’s Degree | 569人 | 2,486人(日本の4.4倍) |
仕事の募集要項に特定の学位を求めることがあるのは、日本もアメリカも同じです。
ただ日本でよく見かける以下のような謳い文句。
これらは、アメリカにはまず存在しません。
ある特定の職務に対して即戦力を求める「ジョブ型雇用」のアメリカでは、募集要項として特定の専攻を求めることは一般的。何の学位を持っているかだけではなく、学校で何を学んだかも肝となるという訳です。
キャリアチェンジを希望の際には、社会人であっても学校に行き直し、アカデミックなバックグラウンドの形成から始めることも、ごくごく普通の流れです。
尚、「専攻ではなく、どこの学校を卒業したかを重要視する」日本の慣習を、「学歴社会」ではなく「学校歴社会」と呼んだりもします。
学位により収入・失業率の違いを示す興味深い調査結果がありますので、ぜひ御覧ください。米国労働局(Bureau for Labor Statistics)によると、2017年の各学位の平均収入・失業率は以下の通りです。
学位 | 収入 | 失業率 |
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Associate’s Degree | $836/週丨$43,472/年 | 3.4% |
Bachelor’s Degree | $1,173/週丨$60,996/年 | 2.5% |
Master’s Degree | $1,401/週丨$72,852/年 | 2.2% |
Doctor’s Degree | $1,743/週丨$90,636/年 | 1.5% |
もちろん、学位があれば職と高収入が100%約束される、ということありません。言うまでもなく、学歴以外の経験値やソフトスキルも、採用において非常に重要です。
ただ一般論としては、学位があがることで、より高い給与レンジのポジションに就け、かつジョブセキュリティも高くなると言えそうです。
入学試験が登竜門である日本と異なり、アメリカの大学は”卒業できるかどうか”が本当のゴールだという話は周知の事実ですね。学生は日々膨大な課題に追われ、成績維持の為に奔走します。
そんな彼らが一番に気にするのは、GPA(Grade Point Average)。欧米の大学や高校などで使われる成績評価指標で、日本においても導入する大学が近年増えてきています。
アメリカでは、就職選考においてもGPAが判断材料のひとつとなることもあります。
GPAとは、5段階の成績評価(A, B, C, D, F)に対し、4.0~0.0の評価点を付与して算出される評定平均値のこと。つまり、最高値はオールAの4.0となります。
参考までに、アメリカの大学に入学するには高校でのGPAが、2.0 以上(アメリカの5段階評価で平均C以上)要求されるのが一般的。トップレベルの大学に行くには3.5以上、アイビーリーグなどの名門大学の場合は4.0~4.5以上が必須だと言われています。
※通常授業に加え、AP(Advanced Placement)という大学の単位を先取りできるクラスを受講することで、最高値を5.0まで引き上げることも可能です。APは誰でも受講ができるわけではなく、成績の優秀な生徒限定となります。
企業側からGPAの提出が求められない限り、レジュメへの記載は任意です。基準として、以下を目安にしていただくと良いかと思います。
成績だけで完結させたいところではありますが、それで終わらないのがアメリカ。有名大学を卒業し、優秀な成績を保持していても、採用にいたらないケースも頻繁にあります。それは、この国が新卒採用文化のない実力主義社会でもあるから。
こういった背景から、学生は多忙な学業の合間をぬいインターシップをすることで、実務経験を身につけるのです。
日本でもインターンシップは近年身近になってきていますよね。ただ蓋を開けると、コンセプトに大きな違いがあると言われています。比較してみましょう。
日本 | アメリカ | 期間 | 短期間(1日〜1ヶ月) | 長期間(2週間〜1年) |
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企業側の目的 | 企業や事業について知ってもらう | 即戦力となる人材を育成し、場合によっては採用する |
インターン生のメリット | ・就職活動の視野が広がる ・企業風土の理解が深まる ・ミスマッチを防げる | ・人脈を広げられる ・レジュメ用の経験/推薦者を確保できる ・インターン先からのオファーの可能性がある |
経団連(日本経済団体連合会)の採用選考指針では、インターンシップを「採用選考活動とは一切関係ないことを明確にして行うもの」と定めています。このような背景もあり、日本では直接雇用を見越したインターシップが浸透しづらいといわれています。
一方新卒生が中途採用者と同じ土俵で戦わなくていけないアメリカでは、実務経験ひいては就労オポチュニティ獲得の又と無いチャンスとなるのが、インターンシップの場だと言えるのです。