コロナ後のオフィスのあり方
従うべきガイドラインと労働者の声


COVID-19のパンデミックによって認知度が上がった表現のひとつに、WFH(Work From Home丨在宅勤務)が挙げられますね。

「在宅勤務なんて向いていないと思っていたが、意外に仕事がはかどる」という方。
はたまた「オフィスで人に囲まれて働く環境が恋しい」という方。
様々な見方があるでしょう。

ウィズ・コロナ、そしてアフター・コロナ時代、大きな転換期を迎えていると言える「働く場所」「働くスタイル」に今回はスポットをあててみましょう。

1.従うべきガイドライン

「ソーシャルディスタンス確保」「三密回避」をベースとしたオフィス環境づくりの必要があることは周知の通りですが、実際にはどんな指針が示されているのでしょうか。

カリフォルニア州を例に、CDPH(カリフォルニア州公衆衛生局)とOSHA(労働安全衛生庁)が合同発表しているガイドラインを見てみましょう。

  • 社員のトレーニング
    感染リスクや拡大防止法を理解する為の十分なトレーニングの実施。
  • 健康状態の確認と検査
    体温チェック、ならび体調不良の兆候が見られる際の自宅療養の実施。
  • 衛生管理
    徹底した消毒・掃除の実施。電話などのオフィス備品の共有の停止。
  • 物理的距離の保持
    6フィートが目視できるようなサインの導入。共有スペースの閉鎖もしくは人数制限。

上記はどれも既に一般化した概念ばかりではありますが、該当の地域が公式に発表している指針に一度は目を通すことをお勧めしたいです。

2.企業の対応

2020年6月に入り、オフィス復帰をする企業が一部見られる中で、今も尚「オフィスのあるべき姿」を模索している企業も多いのではないでしょうか。企業の対応例をご紹介します。

レイアウトの変更

オフィスのデスク設置方法は多種多様ですが、日系企業や日本で勤務経験の有る方にもっとも馴染みが深いのは「対向島型オフィス」でしょう。

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日本の代表的なオフィスレイアウト様式。部や課といった組織構成単位ごとに、机を向かい合わせに連結し、島を構成するレイアウト方式のこと。

参照:Wikipedia

国土が狭い日本での面積効率の良さ、ピラミッド式の組織への適合性などから、戦後に復旧し今でも根強い人気があります。ただこの島型。言うまでもなく密集しており、身体的距離が十分にあるとは言い難いでしょう。

オフィスや店舗の内装設計を手掛けるデザイン会社 株式会社ROOM810は、以下のような例を推奨しています。

  • 「脱・島型」拡散型デスクレイアウト
    空間の四隅を生かしたデスク配置や、対面しない卍状のデスク配置といった、各個人の占有空間を区切った「パーソナル型」レイアウトとすることで、ソーシャルディスタンスを確保
  • パーソナルスクリーンで感染予防
    制菌・抗菌仕様のスクリーンを吊り下げることでソーシャルディスタンスをより強化し、直接的な感染予防

在宅勤務の継続

在宅勤務を継続する動きも多く見られます。

企業名 対応
Twitter ・希望する従業員は永続的にWFHが可能
・日本を含む全世界の約5千人の従業員が対象
Facebook ・2020年末までWFHが可能
・今後5-10年をかけて約5万人の従業員の50%は基本的にWFHへ
・WFH円滑化の為VR/ARサービスの活用
Shopify ・2021年までオフィスは完全閉鎖、WFHを継続
・それ以後も従業員の大半が永続的にWFHに
富士通 ・在宅勤務を基本とし、出社率を最大25%にとどめる
・一挙にオフィスでの業務を再開するのではなく、段階的に再開
日清食品 ・ 原則出社率25%を上限とする予約出社制を導入

オフィスを手放す

上記2つに比べ更にドラスティックな対応と言えるのが、「オフィスの解約」です。リモートスタイルでも業務がまわることが明らかになった今、オフィスそのものの存在意義を問い正した結果ですね。

この動きは、デジタル・ネイティブ(生まれたときからインターネットが身近にある世代)が社員の多くを占めるスタートアップ企業を中心に広がっています。そして言うまでもなく、固定費削減につながるというメリットもあります。

3.労働者の声

アメリカの大手IT企業Citrix社が2020年5月中旬に発表した調査では、労働者の大半がオフィス復帰に対して依然として後ろ向きだという結果となっています。

「オフィスへ戻りたい」という声がある一方で、安全面・健康面への不安、新体制下での勤務への懸念を感じている人もまだまだ一定数いるようです。

オフィス再開を目指す企業は、環境を整えつつも、労働者サイドの思いを考慮し柔軟性を持っていくことが好ましいのではないでしょうか。

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今後姿を変えていくであろう「働く場所」そして「働き方」。どんな変化があるのか興味深いですね。また、企業にとっても、労働者にとっても、ライフ・ワークバランスを見直す良いきっかけになるかもしれません。

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