” 円 満 退 職 ”
円満とは文字通り、円が丸く満ち、調和が取れていること。 つまり円満退職は、雇用主・非雇用主双方がわだかまりなく雇用契約を解除することを指します。
さてこの日本語、あなただったら何と英訳しますか?
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Quit a Job Gracefully(優雅に), Professionally(プロ意識を持って), On Good Terms(良好な関係で)
といった表現が使用されることが多いようです。英語で検索すると、円満退職のコツを紹介した記事がたくさん出てきます。転職が当たり前なこの国アメリカにも、「立つ鳥跡を濁さず」の概念は存在するということですね。
今回は、アメリカでの退職の流れをご紹介していきたいと思います。
退職の意思が固まったら、まず多くの人が気になるのが「いつ会社に伝えよう?」という点かと思います。
日本では1~3ヶ月、中にはなんと半年前の退職通知を推奨するケースもあると聞きます。アメリカはどうでしょうか?
アメリカでの雇用契約は、以下の通り基本的にat-will 雇用、つまり随意であることは周知の通りかと思います。
よって、仮に「今日退職届けを出し、明日からもう出社したくない」場合、これは可能か不可能かで言えば、可能であるということです。
ただ、「上記の行動が一社会人としてプロフェッショナルか」と問われたら、決してそうではないはず。後任者の選定や引き継ぎなど、あなたが退職することで発生しうる業務をせず去ってしまうのは好ましいとは言えません。
アメリカでは、Two Weeks Notice(2週間前通知)が一般的とされています。
これは法的効力のあるものではありませんが、HRの概念形成が盛んであった1940~50年頃に導入され始めて以来、慣習として根付いているものです。
退職することを雇用主へ正式に通知するための、Resignation Letter(別名 Two Weeks Notice Letter)を用意しましょう。
以下のような内容を含むことが一般的です。
退職の申し出をした場合に、雇用主側から昇給や昇格、あるいは希望する部署への異動などといった条件とともに引き止めらることをCounter Offer(カウンターオファー)を提示すると言います。
必ずしもこれが提示されるとは限られませんが、昨今の大辞職時代による採用難を考慮すると、企業は貴重な人材を失いたくないはず。引き止めにあう方も多いのではないかと察します。
意思が最終決定したら、人事部とExit Interview(エグジットインタビュー)が実施されることも、アメリカでは一般的です。
退職を決めるに至った原因や職場環境・働き方へのフィードバックなど、従業員の本音を聞き出すことで、雇用主側がよりよい組織づくりに繋げることを目的としています。
indeed社によると、以下のような質問をされることが多いようです。
後任者選定や採用サポート、引き継ぎやレーニングを実施した上で、最終日を迎えるのが一般的かと思います。時間が限られているケースが多いでしょうが、引き継ぎは丁寧に行えたらベストですね。
最終日には御礼の挨拶メールを送ることをお勧めします。
簡潔で問題ないので、感謝の気持ちと共に、退職後の連絡先などを添え一報してみてはいかがでしょうか。
もちろん、世の中の転職全てがポジティブな理由によるものではないかとは思います。しかしどのような理由にせよ、お世話になった会社・一緒に切磋琢磨した仲間です。「ありがとう」の気持ちは伝え、気持ちよく退職したいものです。
特に転職社会のアメリカでは、現職の上司や同僚と将来的に違う職場で一緒に働くということも稀ではありません。また、リファレンスをお願いしたい、ということもありえるかもしれませんよね。更には、業界やコミュニティー内の繋がりも密なのでレピュテーションリスクも考えられます。
ヒトとヒトとの繋がりは財産です。退職後も良好な関係を築けるよう意識してみてはいかがでしょうか。